司の章~クロネコの誘惑

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「あれ? あんな所に、お店なんてあったっけ……?」 珍しく残業になってしまってお腹もペコペコな午後八時。 私は駅から家までの道すがら、 今まで全く気が付かなったお店の灯りに気が付いた。 ――Cafe & Bar ‘mana’―― 「まな……? ふぅん、なんかおしゃれな感じだなー  ……どうしよう」 お腹は、ぐぅぅと辛そうな悲鳴をあげて 『どこでも良いから入れ』とばかり。 なんとなくお腹に手を当てて佇んでいると、 シャランと綺麗な金属音のあとに少し重たげな木のドアが開いて、 お客さんと思しき男女が笑顔の男性に見送られていた。 「……ですね……ハハ……た……度……ちしてます……」 「ごち……ま~」
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