プロローグ 彼女は壇上で愛を叫ぶ

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 人を見かけで判断するのは本当に愚かなことだと思う。しかし、第一印象が大事なのもまた事実。汗だくの豚まんがいきなり目に飛び込んできたら、そこは反射的にチェンジと言わざるを得ないだろう。  俺は頭の良さそうな眼鏡君に聞いてみることにした。  「僕は眼鏡君ではありません。斎藤です。そしてこちらの人より少しだけ体格のいいデブが豚山君です」 「いやいや!なんかオブラートに包もうとして結局デブって言ってるからね!てか僕は守山だよ! てかチェンジってひどくない? ハァ……ハァ……」  暑苦しい! 見た目だけじゃなくてツッコミまで暑苦しいわ! そして息を切らすな!  即座にそう言ってやりたかっだが、さすがに初対面なので自重した。ここは華麗にスルーするのが大人の対応というものだろう。 「じゃあ改めて斎藤君。なんでこんなに騒がしいんだ?」 「それはですね――」 「えっ? 僕は? 豚山のくだりはどうなったの? ハァ……ハァ……」 「うるさい。豚まんは少し黙ってろ」 「!?」  一瞬時が止まるのを感じる。  はっ。俺としたことが。あまりの鬱陶しさに思わず本音を声に出してしまったではないか。  だが豚……守山君。謝ることはできない。何故なら悪気もあったし、反省もしてないんだ。 「斉藤君。話の続きを頼む」  「分かりました」  俺は固まったままの守山君を尻目に、改めて斉藤君の話に耳を傾けるこてにした。 「……なるほど」
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