第壱章 -散らぬ華-

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    周りに目をやると いつの間にか囲まれていた (…なんで?) 全員、女を睨み付けていた 動揺したが 周囲の声 聞き慣れない言葉が 耳に届いた 「間違いない、あの女だ…」 「飛び降りるの見た…」 「私も…しばらくしたら  起きたわ、屋上だったのよ!?」 「きっと悪魔だ……」 「まだいたのか…しぶとい…」 聞き取れるのは 間違いない、女、飛び降り 見た、私、起きた、屋上 悪魔、しぶとい (……見られてた…) だが 先の戦争で悪魔に勝ったことを 知っていた筈だ 良く見ると ほとんどの人間が震えていた 怖いのだろう 悪魔との戦争は終わった だがもしかしたら 悪魔はまだいるんじゃ…? その不安が募ったんだ どれだけ弁明しても 無意味だろう… (嫌ね……) 刀を抜く きっとこの刀がつけた傷も しばらくすれば いつも通り綺麗に治るだろう
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