第壱章 -散らぬ華-

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    そして気付けば あの場所へ足を運んでいた 母が死んだ場所 女は 昔、あの場所には 神聖なモノがあったと 言われていた そんなことを思い出していた 母が死んだ後 情報で聞いたものだった あの華は もう枯れているだろう 今にも崩れそうな 門らしきものを通り あの頃より ボロボロで建物と呼んでいいのか 迷うくらいだった でも そこには明らかに不釣り合いな 人が、立っていた 脱色をしきったような 真っ白な髪に 確実に女を見据えた 赤紫の瞳 中性的な顔立ち 腕はだらりとしていて しかしそれでも 燕尾服をキチッと着ているせいか だらしなさがなかった
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