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何時間かかったのだろうか。係長から開放され、外に出た時に時計を確認したらA.M9:00を過ぎていた。
結局徹夜で係長に拘束された。眠い、そしてお腹が減った・・・。そう思いながら3係の部屋に入る。
「よう、やっと解放されたのか」
昨日散々からかってきたガーネットがコーヒーを片手に声をかけてきた。
「ふぁぁ~結局徹夜よ。なんでこんなにも係長しつこいんだろう。いつもは冷静なのに・・・」
「あ、お帰りなさい。ドーナツ買ってありますよ」
小柄なアヤメが眠たげにドーナツの箱を指さしている。
「あれ?みんないるの?アヤメは今日は非番じゃ・・・」
「アヤメが言い出したんだ。サツキが落ち込んでいるだろうから、係長から開放されるまで一緒に待ってようって聞かなくってさ」
というと、ガーネットは大あくびをした。
ヒカリは端末に見つめたまま1つ頷いた。
みんな待っててくれたんだ。そう思うとサツキは申し訳ない気持ちになったが、どう声をかければいいのかわからず立ち尽くした。
「それにしても本当についてないねー、サツキは。デートの相手が殺されちまうなんてさあ」
サツキの脳裏に昨日の惨状が蘇る。目の前の男の死に顔。花を1輪手向けただけじゃ気が済まない。ひょっとして、私とデートしていたから殺された?そんな馬鹿な・・・。と思いながらも完全に否定することはできなかった。
捜査5課は国家安全保障会議に属する。その他の警視庁の課とは異なる。対テロ特殊捜査課。そして、サツキの属する3係は強攻班としてテロリストと対峙することになる。
犯人がテロリストだとすると、捜査をするのが1係、サツキたち3係はテロリストへの強襲作戦・逮捕であるから、テロリスト達のリストに入っている可能性は高いのだ。
日常生活と仕事の名前や履歴は入局するときに変わっている。両親のいない、そんな個人情報が隠しやすいものが捜査5課には集められている。
しばらく声の出なかったサツキにヒカリが声をかける
「今日はもう帰っていいそうよ。係長からメールがきてたわ」
「そう、ありがとう。ちょっと休ませてもらうわ」
軽い目眩に似た感覚に溺れかけていたところを現実に引き戻された。
「ちょっと、大丈夫かよ。私はこれから警らの手伝いだから車で送ってやるよ」
ガーネットの優しい言葉が胸に痛い。だけど、今日は甘えることにした。
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