刑事、女、テロリズム

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サツキは2人がけのテーブルに1人腰掛けていた。 「まだかな・・・もう20分も待ってるのに」 3つ星チャイナレストランで、1人で料理も食べずに座っているほど肝は座っていない。 21になったが、1人で外食なんてしたこともない。 冷や汗で凍りつきそうなときに、ボーイが声をかけた。 「お連れのお客様がお見えです」 「やー、ごめんごめん。政治家の馬鹿どもが答弁ひっくり返すからさぁ 」 と言いながら現れた中肉中背の程良い体型の純粋ジャパニーズだ。 それは、官僚が使う結婚相談サイトで確認されているので身柄は間違いない。 今夜こそ・・・いや、今回こそ処女を捨てて、素敵な彼氏に出逢えるチャンス! サツキは今まで男性と付き合ったことがなかった。 子供の頃から、病気がちで入院していたことが多かった、というのもあるのだが。 どちらかというと、根っからの男盛りでことごとくデートさえも満足に終える事すら無かったというのもあるだろう、とサツキは自分の過去を思い起こしなががら、顔を伏せながら不敵な笑みを浮かべる。 今度こそ、いや、今夜こそ・・・! 「サツキさん・・・?どうかなさいましたか?」 優しく心配する声がする。 これは・・・絶対に失敗できないわ、サツキは心の中でほくそ笑む。 いえ、なんでもありませんのよ、 と笑顔で顔を上げようとした 瞬間大きく爆ぜる音がした。
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