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パン、パンという乾いた音が辺りに響いた。
サツキはとっさにテーブルの下へと身を隠す。
悲鳴が辺りに木霊し、騒然とした音だけが辺りを包み込む。
銃撃だ、サツキは経験から察した。
徐々にまわりが落ち着きだした頃、サツキは隠れていたテーブルから顔を出す。
「大丈夫で・・・」
そう相手の男に声をかけようとしたが、辞めた。
男は頭と胸に銃弾が撃ち込まれ、テーブルに突っ伏していた。
流れ出る血流の量とこめかみに穿った穴を見て、サツキはため息をつく。
(はぁ、なんでようやくデートまでこぎつけたのに・・・)
テーブルを飾っていた花瓶が倒れて、カサブランカが放り出されていた。
1輪手に取り、冷たくなりつつある男の体にカサブランカを添えた。
今日はじめてあった男だったが、花を手向けた。
最近、多いな、サツキは呟いて集まってきたパトカーの方へ足を向けた。
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