ひとつ

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「ふっふふーんっ」 音程などなく、ただ棒読みで鼻歌を歌う 右手には泥で作った団子 あーあー…この人間の血肉が混じっているかもしれない団子を誰かの顔面に思い切りぶつけたい うーん… 俺と同じ真新しいブレザーに身を包んだ野郎どもを見渡す 誰に当てようか? 何処を見ても野郎野郎野郎野郎っ!! あーきもい。 …はぁ…もう、誰でもいっかー 俺はふと目の端に写った金髪にめがけて手を振りかざした …手から泥団子が離れようとした瞬間、金髪の顔が見える 「っ!?」 その瞬間、手首の軌道をかえ、近くのでかい野郎に当てる …やばいな… ソイツは人間離れした程綺麗だった 染めているのだろうか、それでも綺麗な金糸の髪 筆で書いたような綺麗な形の眉の下には、長いまつげで影がかかった綺麗な瞳 高い鼻、スラッとした、けれどもヒョロッとはしていないモデルのような長身と完璧なスタイル 俺はその姿に、近くで叫ぶ男の声さえ聞こえないほど見惚れていた。 ,
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