第一話 陣中に漆黒の夏侯旗あり

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――――――――――――――― 厳政「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!!!」 ヒュン!! 厳政の振り上げた戟が赫昭目掛けて降り下ろされる。 その速度は、「ただの賊の一撃」と侮ることはできないほどに中々の速さである。 しかし、守将とまで謳われる赫昭にとって、その一撃を防ぐことなど容易い。 赫昭「ハァッ!!」 ガキィィィィ-ン!!! 厳政の一撃は、赫昭が左腕に持つ剣によって難なく迎え打たれ、厳政の手から戟が空高く弾き飛ばされる。 そして、隙だらけの厳政の胸目掛けて、赫昭の右腕に持つ剣による一撃が放たれる。 赫昭「―――終わりだ」 ヒュン!!!ザシュ!!! 赫昭の一撃が厳政の体を貫き、辺りに鮮血が噴き上がる。 厳政「…が、ふっ!?」 厳政は最後に小さく悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちる。 赫昭は厳政の死を確認すると、その場で大きく声を上げる。 赫昭「―――敵将、この赫伯道が討ち取った!!」 傭兵団「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!!!」」」 赫昭の宣言に、黄巾勢は完全に動揺して烏合の衆と化し、崩れていく。 ―――漆黒の『夏侯』旗ある処に守将、赫伯道あり。 夏侯覇の出る幕なく、また此処に一つの黄巾勢が歴史から名を消したのであった。 ―――――――――――――――
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