PROLOGUE

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 晴天が眩しい午後の一時十六分。真新しい制服に身を包んだ俺は、満開に咲いた桜のトンネルを抜けた先にある丘。大きな桜の樹が頂上に一本だけ生えているのが綺麗な丘、そこの一角にあるベンチに座っていた。 『えー、皆さんはこれから、入学し、沢山の事を学び―――』 『高校生はね、中学とは違って―――』 『君の人生は君が主人公だ。将来は君たち次第だ――』  長ったらしい決まり文句を頭に叩き込まれるだけの入学式。その言葉達が頭の中をグルグルと回る。欝だ。教員の期待とは相対的に俺の気持ちは鬱だった。 君の人生は君が主人公。分かっているさ。でもな、俺が何か特別な出来事に遭遇したとしても、それはこの地球において、宇宙において、世界において、ちっぽけな事に過ぎないんだ。 そう考えると何も気力が起きなくなった。 俺は厨二病患者かっての!!!!……欝だ、そうだ死のう。  そんな馬鹿みたいな事を考えながら、ふと視線を桜の樹に向けると、黒髪の女性が地面に這い蹲っていた。
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