1.偽り

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イライラしながら、施設の前まで来た。                                   庭では、子供たちが遊んでいた。                                        玄関の前にいる俺に、気づいていない様子だ。                                         「お帰り」とも何とも言ってくれない。                                       それでも、俺はドアを開けて中に入った。                                                 「あ、....涼兄か。..おかえり」                                            中学生くらいの子が、俺の顔を見るなり表情が消えて、またリビングに戻って行った。                              「はあ.....」                                        ため息が自然と出た。                                     やっぱり.....そういう扱いか。                                             「おう。涼介、おかえり。声が聞こえないから、驚いたじゃん」                                   「.....気を付ける」                                        「また、そっけない返事だな。....気にしてないから、次はしてくれよ。一応基本のことだから、挨拶って」                    宏太先生に、な?と言われ、頭を軽くなでられた。                                        子供じゃないから、正直嫌なんだけどな.....
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