1.偽り

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そしたら、俺はなんだかここにいちゃいけない気がしてきた。                        皿を見ると、まだ半分カレーが残っていた。                                       だけど、その場にいるのがなぜか辛いんだ....                                    だから、席をゆっくりと立ち部屋に戻ろうとした。                                   「涼介?....もういいの?」                                   先生の声だ。                    「ちょっと....食欲、なくて....」                               「大丈夫か?風邪じゃないよな」                                           先生は席を立ち、俺の額に手を当てた。                                     その時、ちょっとだけ震えた。                                       「んー....熱じゃないみたいだけど....夏バテかな?無理しなくていいから部屋で休んで来い」                      目をへの字にして俺の背中をポンと押した。                                       「ありがと.....」                               「涼介!」                       俺が振り返ると、大兄が笑顔で「カレー.....貰っていいか?」って言ってきたから、なるべく笑顔で「いいよ」と返した。
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