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俺の腕時計のディスプレイには──「美空 愛」の文字。
「……は?」
「……あら?」
「えっ」
「おい」
「「え?」」
……その場に静寂が訪れた。
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まあつまり俺は1人捕まえてしまったというわけだ。
何人でも捕まえていいっちゃいい訳だけど。
「貴方達……まさか無理やりこの子に捕まろうとしてたの!? 信じられないわ!
生徒会なのに! 恥ずかしいったらありゃしない! 大体生徒会っていうのはねぇ。生徒の見本になるべき人達のことでしょう? それなのにこの子に辛い思いをさせて! 生徒会失格よ! この子は私が保護するわ。貴方たち、出直してらっしゃい!」
オネェ口調で話す彼――彼女?――は、生徒会ファンじゃないらしく、やつらに正座させてお説教していた。会長はなんかハァハァしてたけど。
「えーと、かんだ……つきやくん?」
「アッハイ」
「ごめんなさいねぇ、ほんと。気をつけてはいたんだけど鬼側の人とぶつかっちゃうだなんて思ってなくて……」
「あっいやいや! 大丈夫です」
体は大きいけど顔は優しげで、にっこりと笑ったその顔はかわいかった。
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