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「しょおー、姉ちゃんからOKもらったよ」
……返事がない。
「翔?」
リビングにいるかと思ったんだが。
「おーい」
やっぱり返事がない。どこいった?
テレビの音に混じってよく聞こえなかったが、耳を済ませば水の流れるジャァーッという音が聞こえる。
なんだ、キッチンか。
キッチンにいってみるとそこには、
__血。
「……え?」
翔は倒れていた。
「しょ、う?」
血は、翔の手首から流れているようだ。
「……お、いっ、翔!」
倒れている翔をゆっくり抱きかかえる。
翔は唸りながら薄く目を開ける。
「……ん、ん……つ、きや?お、れ、何……」
「俺が聞きてぇよ!ちょ、待ってろ。保険医呼んでくるから」
俺が立ち上がろうとすると、翔が手をつかんだ。
そこには、抱きかかえたときについてしまった翔の血。
それを、
翔は、
ペロリと舐めた。
「__翔?」
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