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……泣いて、いた。
いつも笑ってた翔が、肩を震わせて泣いていた。
「……っ、やだ、やだ……もうしないから、離れないで……」
目を擦りながら言う翔がものすごく小さく見えた。
「離れるわけないだろ、友達なんだから」
手を切ろうが舐められようが、友達ってことにはかわりないだろ。
「つき、や……っ、でも、お、れ……」
「まずさ、なんであんな倒れるまで切ったの」
保険医がいうには、昨日今日切ったんじゃないような傷がたくさんあったという。いつからあんなことしていたんだ。
「切って、安心してたんだ……よ……」
「…………え?」
切って、安心?
「また、話すから……、ごめん、なさい。一人に、して……ごめんな……」
そういうとフッと気を失った。
「ちょっ、翔!大丈夫か!おい、返事「寝てるだけだよ」
大声を出す俺を止めたのは保険医の多田 日向(タダ ヒナタ)先生。
「血もいっぱいでちゃったし辛いんだよ、松川くんも」
……血、か。
なんで、舐めたんだ?
自分の血だろ?
いくら人についたからって舐めるか?
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