5.告げられない秘密により。

4/8

686人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
……泣いて、いた。 いつも笑ってた翔が、肩を震わせて泣いていた。 「……っ、やだ、やだ……もうしないから、離れないで……」 目を擦りながら言う翔がものすごく小さく見えた。 「離れるわけないだろ、友達なんだから」 手を切ろうが舐められようが、友達ってことにはかわりないだろ。 「つき、や……っ、でも、お、れ……」 「まずさ、なんであんな倒れるまで切ったの」 保険医がいうには、昨日今日切ったんじゃないような傷がたくさんあったという。いつからあんなことしていたんだ。 「切って、安心してたんだ……よ……」 「…………え?」 切って、安心? 「また、話すから……、ごめん、なさい。一人に、して……ごめんな……」 そういうとフッと気を失った。 「ちょっ、翔!大丈夫か!おい、返事「寝てるだけだよ」 大声を出す俺を止めたのは保険医の多田 日向(タダ ヒナタ)先生。 「血もいっぱいでちゃったし辛いんだよ、松川くんも」 ……血、か。 なんで、舐めたんだ? 自分の血だろ? いくら人についたからって舐めるか?
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

686人が本棚に入れています
本棚に追加