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side 松川 翔
夜。
俺は保健室のベッドの上で考えていた。
――別にお前が心配するほど回りは酷くねーよ。
微かに、きこえた言葉。
まぶたをあげる気力も返事をする気力もなくて聞き流しちゃったけど。
俺、なんもいってねぇよな?
なのに、なんでそんな知ったような口聞くんだよ。
ベッドの近くで寝ている月夜を見る。
「なにも知らないくせに」
呟くと、また泣きそうになる。
俺にどうしろって言うんだよ。
きっと月夜の前ではもう演技できない。
つまり、笑えない。
笑えなかったら、嫌われる。
どうしよう。
嫌われたくないよ……。
もう一人になりたくないのに、もう苦しみたくないのに。
もう、あんな思いしたくないのに。
「月夜、ごめん……………………ミヤ、ごめん…………」
「謝んなよ……」
!?
眠っていたはずの月夜が俺の方を見ていた。
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