5.告げられない秘密により。

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「つ、月夜……、おきて……」 声が震える。 「ん、起きてたよ。独り言の声でけぇよ」 そんなこと言われても。 「あのさ」 強い口調で言われ、ビクッとなる。 「お前が何を病んでんのかとか別にいいよ、言わなくて」 「……」 「たださ、そんなに俺のこと信じらんねぇ?」 「……そ、れは……」 月夜は高校に入ってからできた大切な友達。 信じられ、ない、信じてない? 「俺のことは信じなくてもいいよ。いやそりゃ信じてほしいけど。でもさ、手とか切るな。切りたくなったら俺を呼べ」 「……は?」 信じなくても、いい? 切りたくなったら、呼べ? 「俺はおまえのこと友達だって思ってるよ。友達が自分で自分傷つけてるとこなんて誰だって見たくないだろ」 とも、だち? 本当に? 「お前が何を抱えてるか、なんて言えないなら言わなくていい。言いたいなら聞いてやる。だから無駄に心配すんな、翔」 優しく微笑むその顔は、俺を泣かすには十分だった。 「う…………ぇふっ……つ、き………………」 ぬぐってもぬぐってもこぼれる涙。 「泣くなって、ほれティッシュ」 笑ったその顔を見て、 信じても大丈夫、って思った。 月夜は信じなくてもいいっていってくれたけど、 もう大丈夫。 月夜のこと、信じてる。信じたい。 side end
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