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「つ、月夜……、おきて……」
声が震える。
「ん、起きてたよ。独り言の声でけぇよ」
そんなこと言われても。
「あのさ」
強い口調で言われ、ビクッとなる。
「お前が何を病んでんのかとか別にいいよ、言わなくて」
「……」
「たださ、そんなに俺のこと信じらんねぇ?」
「……そ、れは……」
月夜は高校に入ってからできた大切な友達。
信じられ、ない、信じてない?
「俺のことは信じなくてもいいよ。いやそりゃ信じてほしいけど。でもさ、手とか切るな。切りたくなったら俺を呼べ」
「……は?」
信じなくても、いい?
切りたくなったら、呼べ?
「俺はおまえのこと友達だって思ってるよ。友達が自分で自分傷つけてるとこなんて誰だって見たくないだろ」
とも、だち?
本当に?
「お前が何を抱えてるか、なんて言えないなら言わなくていい。言いたいなら聞いてやる。だから無駄に心配すんな、翔」
優しく微笑むその顔は、俺を泣かすには十分だった。
「う…………ぇふっ……つ、き………………」
ぬぐってもぬぐってもこぼれる涙。
「泣くなって、ほれティッシュ」
笑ったその顔を見て、
信じても大丈夫、って思った。
月夜は信じなくてもいいっていってくれたけど、
もう大丈夫。
月夜のこと、信じてる。信じたい。
side end
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