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あれからひとしきり泣いた翔は、照れくさそうに俺を見て笑った。
「ごめんね。ありがとう」
「……おう」
「今のでね、月夜のこと信じていいと思えたよ」
「……うん」
「……で、も、まだ、言えない……」
手を強く握りしめて言う翔。
目にはまた涙がたまっていた。
「話そうとすると……こえ、でなくなるんだ……」
「言わなくていいっていっただろ。そりゃ気になるけどさ、言えるようになったら、また聞くよ」
「…………月夜、ありがとう……」
「そんな何度も礼言わなくていいよ」
翔の頭を軽く撫でる。
「わ、ちょ、やめ……」
顔を少し赤くしながら慌てる翔。
……もう、大丈夫かな。
「なぁ、切りたくなったら絶対俺のこと呼べよ。絶対」
「……うん。呼ぶ」
にへっ、と笑う翔に安心した。
「つか俺らいつまで保健室だよ。ってうわ、もう2時じゃねーか」
深夜の2時とか怖いです。
「そだね、2時だね」
ニコニコしている翔。こいつ余裕じゃねぇかよくそ。
「それよりさ、姉ちゃんの連絡先。俺それ渡したかったんだよ」
「!?月夜のお姉さまの!?はよ渡そう、連絡先はよ渡そう」
「……腐れ男子め」
「腐男子ですから」
いつも通りの翔に戻ったことに安心する。
「とりあえずもう今日はここで寝ちゃおうぜ」
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