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「ふ、副会長……さっきはすみません、でした……」
「いえ、離してと言われても離さなかった私が悪いんですよ」
さっきから何度もぶっとばしたことについて謝っている。いやだってやべーだろ。
思いっきり腹を殴っちゃったからしばらくは起き上がれないかも、と思っていたらすぐに起き上がってビックリした。
……めっちゃ腹さすってたけど。
副会長なんかやってんのかな。
「……つきましたよ。入りましょうか」
「あ、はい」
そして現在は理事長室の前にいる。
……ってわああああ!!!!!
「ダメです副会長こっからさきは俺一人で大丈夫です本当にさっきはすみませんあとここまで送ってくださってありがとうございましたではさようなら!」
「は?え、ちょ、夜道っ……」
副会長の言葉を聞かずに理事長室に入り、扉を勢いよく閉める。
……あっぶねー……。
「来たよー、おじさん」
「夜道、よく来たな。こっちにこい」
おじさんがこっちを見ずに言う。いつも通りだな、おじさん。
おじさんのもとにいくとガバッと抱きしめられた。
おじさんに抱きつかれんのはもう慣れた。だって会うたびに抱きつかれるんだもん。
「はぁはぁはぁよみちーっ、ひさしぶりいいい!!かわいいいいいよみちかわいいいい!!!はぁはぁはぁ……やわらかい……いーにおい……癒される……はぁはぁ……」
「はいはいわかったから」
……さっき、副会長を部屋にいれたくなかったのはこれが理由だ。
おじさんは遠くから俺を見つけると、最初はクール……なふりをしているんだけど、近くまでいくとすごい勢いで変態になる。
しかも俺以外の前ではすんげー冷静みたいだからさ。
おじさんの変わりようを知っている人からは毎回憐れむような目で見られる。
副会長もいつもクールなおじさんがこんなんだとは知らないだろうし、ショック受けるかもしんねーから戻ってもらった。
「変装しててもかわいいね夜道……夜道が変態共に食べられちゃわないか心配だよぉ……」
「食べられるわけないでしょ。大丈夫だって」
むしろ変態はあんただから。
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