6.王道転校生により。

10/13

686人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
******** 「えーと、夏海先生。なんで先生そんなホストみたいなんですか」 クラスに向かっている途中、気になっていたことを訪ねる。 「ん?……すげー直球だな」 「……ぁ、いや、話したくないならいい、です」 俺は人に嫌われるのが怖い。 誰だってそうだと思うけど、俺は人の倍、怖いんだ。 だからなんだか探るような言葉になってしまう。 「話したくないなんてことはないけどさ」 ポリポリと頭をかく先生。 「まぁ、教師になる前はホストやってただけだよ。その名残っつーかなんつーか」 「……はぁ、そうなんですか」 やっぱホストやってたんだ……。 なんで転職したんだろ……。 「ははっ、お前、顔になんで転職したんだって書いてあんぞ」 「え」 ペタペタと顔をさわる。 「……プッ、はははっ!お前、気に入った。面白い」 「は?」 なんかいきなり笑われた。 しかも気に入られた。 「俺が転職したのはな、お前みたいな生徒に出会いたかったからだよ、夜道」 ……名前呼びされた。 「俺みたいな生徒って……」 「もっさりしてんのにはっきりしてるような……じゃなくて、芯が強いっつーかな」 「……はぁ」 「つか夜道、お前その髪どうにかしろよ。前髪あげるとかさー」 先生が俺の前髪をあげる。 ……そして、おろす。 「あーっと…………えっと……お前、ずっとそのままでいろよ。絶対前髪あげたりすんなよ」 さっきといってることが真逆じゃねーか。 ……ん? よく見ると、先生の耳が真っ赤だ。 つられて、俺も顔が熱くなってしまう。 そこからはどちらも無言。 「……ついたぞ」 「あ、はい」 そうこうしているうちに、クラスについたようだ。 ……あのときの二の舞にはしない。 俺は、変わるために来たんだ。 side end
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

686人が本棚に入れています
本棚に追加