6.王道転校生により。

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side 松川 翔 むふふっ、ついに転校生だwwwww なんか時期思ったより早かったし、マリモじゃないし、超いい子っぽいんだけど……。 夏海先生が呼び捨てにしているところを見る限り、王道イベントはクリアしているんだろう。 「松川、くん?」 「ん?」 お、きたきたwwwww ゆし、どんなものか見てやろうじゃねーかwwwww 「桜ヶ丘くん?俺、松川翔。よろしくな!翔でいいおwwww」 「……。ん、わかった!翔、よろしくね!え、と俺のことも夜道でいいよ」 アンチ王道転校生だったら関わりたくないって思ってたけどこいつなら仲良くしても安心だよなwwww てかさっきからめっちゃ視線感じる。 ……あっ、月夜こっち見てる! えへへへ、月夜ー、転校生と名前呼びする仲になったよー! でも本当の本当に大好きなのは月夜だからね! ……と、視線に力を込める。手振るわけにもいかないし。 月夜は呆れたように笑ってくれた。 うううう、大好きぃぃぃぃ! とか思ってると、夜道がちょんちょんと肩を叩いてきた。そういや話の途中なんだった。 「あの、翔」 「おん?」 なななんだなんだ、まさか俺が月夜らぶなことがバレたか。月夜の素敵さがバレたか。それとも―― 俺の耳に口を近づけて、小声で夜道が言った。 「……あ、の。無理して笑わなくてもいい、んだよ」 ――!! え、嘘。 今まで誰にも……あの大好きな月夜にさえも気づかれなかった嘘の笑顔が。 夜道にバレた。 ものすごい小声でめちゃくちゃ心配そうな顔してるから、気を使ってるんだと思う。 うわ、どーしよ。なんか言わなきゃ。 「…………ん、あり、がと。うわ、まさかバレちゃうとはな」 にへっ、と笑って見せる。 夜道は安心したように話す。 「……ん、わかるよ。あの、うーんと」 夜道は悩むような素振りを見せる。なんだ? 「なに?もうなに言われても大丈夫だよ」 そう言うと、おそるおそるといった感じで口を開いた。 「俺にも、本当の笑顔みせてくれないか?」 ……。 かわいいいいいいいいい!!!! やば、俺この子気に入った!! いや一番はもちろん月夜だけど!月夜大好きだけど! 「……うん、もちろん。これからよろしく、夜道っ」 俺は、月夜以外の生徒にはじめて本当の笑顔を見せた。 side end
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