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「初対面で気付くなんてすごいよねー!嬉しかったぁ」
にこにこと笑いながら言う翔。
俺だって今はわかるもん。
少し桜ヶ丘くんに嫉妬していると、翔はちらりと俺を見て言った。
「……でも、わかってくれるのは月夜だけでもよかったんだよ?月夜のこと、俺だいすきだもん」
!?
おい聞いたか。
だいすきだって!!かわいい!!!
……俺もなんか感覚狂ってきたんだろうか。
「切りたくなったら月夜に言っていい、それだけで俺すごく助かったもん!」
手首の傷を見る翔。
「だからね、もう隠すのやめる。月夜に話す。このこと」
え?
このこと……って、あの時のあれか?
ついこないだまだ話せない、っていってたのに。
無理してるんじゃないのか?
そんな俺の表情を見て、翔が笑った。
「あのね、無理とかしてないよ。月夜に知ってもらいたいなって思ったから話すんだよ。前に話せないって言ったけど……落ち着いて考えてみたらね、やっぱり知ってほしいと思った」
そして翔はぺろりと傷をなめた。
「それに、俺がどうしてあのとき血を舐めたのか、とか。普通に気になるでしょ、月夜も」
そしてきゅっと俺に抱きつく。
「だから、聞いてもらってもいい?」
……。
「……うん」
それしか言えなかった。
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