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もちろん、俺が悪かったと思っている。
あそこで素直に弁償する、といっておけば。
素直にもっと謝っておけば。
こんなことにはならなかった。
それからは毎日苦痛だった。
殴られ、蹴られ。
学校にいけばたくさんの仕打ちが待っていた。
死んでしまえれば楽なのに、と毎日手首を傷つけた。
でも、傷はどれも浅くて死ねなかった。
そして、ある時。
いつものように俺は殴られていた。
そんな俺を見て大輔は嘲笑っていた。
……そしてふと、笑顔が消えた。
「翔、そ、れ」
大輔の視線は俺の手首にあった。
いつもはリストバンドをして隠していたけれど、その日はそのリストバンドをどこかになくしてしまい、なにもつけずに来ていた。
「お前、手首……切ってんのかよ……し、死にたくて切ってんの、かよ」
なにも言えずに目を伏せる。
「お前ら……行くぞ」
大輔は、俺を殴ったりしていた連中を引き連れて、その場から去っていった。
……その日から、パッタリといじめは消えた。
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