7.その傷により。

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そのうち、手首を傷つけるだけじゃもの足りず、傷から出てきた血を舐めるようになった。 血をなめると「あぁ、俺はまだここにいる」って思えた。 口に残る鉄の味が自分が存在する何よりの証拠だった。 ……そして、そのまま俺は中学を卒業した。 もちろん、大輔達とは話せずに。 進学先は全寮制の高校。 中学時代の俺を知ってるひとは誰一人いない。 だから変わろうと思った。 このままじゃだめだと思っていたから。 もとからアニメとかは好きだったし、そこからBLというジャンルも好きになっていって。 俺の好きなものを認めてもらえる学校。 新しい始まりになる学校。 次は上手くやれる、と必死にキャラを作った。 でも、俺は何一つ変わってはいなかったんだ。
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