7.その傷により。

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月夜っていう友達が出来ても、どこか不安で。 また手首を傷つける毎日。 血を舐めて、舐めて舐めて舐めて舐めて。 感覚が麻痺していたんだろう。 血を舐めることが快感になっていた。 そしてそんなときだった。 いつもより深く傷をつけてしまい、「あ、やばい」って思った瞬間には倒れてた。 んで、月夜がきて。 意識が朦朧としていた俺は、がっつり月夜の手についてた俺の血を舐めてしまっていた。 あぁ、今度こそ終わった。 そう思った。 どう考えても中学のときよりやらかしてしまっている。 友達の手を舐めるとか。 ああ。また友達なくすのか。 もしかしたらまたいじめられるかもな。 そんな風に思った。 ……でも違った。 月夜は俺を受け入れてくれて。 しかも切りたいときは言ってくれていい、だなんて。 普通そんなこと言う人いないよ。 すごくすごく、嬉しかったんだ。 また、俺自身を肯定してくれたような気がして。 だから俺は月夜が大好きなんだよ? キャラを作って笑いを作って。 その笑いに気付いた夜道ももちろん気に入ったけど。 でもでもなにより、俺を助けてくれた月夜がいっちばん大好き。 月夜と友達になれてよかった。 まだ、生きててよかった。 side end
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