天才が当たり前の世界で

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「はぁ」 今日何度目か分からないため息を溢して自室のソファに腰を降ろした。 (ご主人も大変ですね) 「まったくだ。俺は何であいつ等と知り合いなったんだか」 部屋には俺しかいないのでセツナの声に声を出して答える。 「何の因果か知らないが、よりにも寄って何であんな天才達と」 長年の付き合いだがあいつ等は本当の意味での天才だと思う。 才能にも恵まれ、環境も恵まれ、ここまで来ている。 一度聞いたことは覚えて実践に移せて、何より覚えたことを極めようとする努力も怠らない。 (……ご主人も充分努力をされていると思います) セツナとも長い付き合いだからこそ分かる。 だから悲痛な声が頭に響いてくるんだろう。 「俺はあいつ等を見てどれほど努力したか知っている。だからこそそれ以上の努力はしてきたつもりだ」 けど、俺が何万回と重ねた努力もあいつ等の10回に及ばない。 「セツナ、人は平等じゃないんだ」
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