終戦

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「“スティール・メイデン”、惜しかったわね」 俺の刀はサヤカの胸の辺りにあるペンダントを貫くことはなく、鎧によって阻まれていた。 「ふぅ………さっさと終わらしてあげる」 全身を包んでいる鋼鉄の鎧から聞こえる嘆息とも聞こえる声。 サヤカは右手で俺の刀を掴むと強引にこちらに引き寄せてきた。 「吹き飛びなさい!!」 左手で顔面を捉えると地面に潰さんとばかりに叩きつける。 「…………」 「やり過ぎたかしら?まあ、ペンダントが安全装置の役割しているから大丈夫よね」 俺の体は糸が切れたと言わんばかりにうつ伏せで倒れている。 俺は負けたのか? あれだけ粋がって起きながらサヤカに大した攻撃も出来ていない。 俺はここままペンダントの強制転移で敗北するのか? 「…………言い訳ないだろ」 俺は、俺は、 「まだ……まだやれるんだ…」 ーーーーーーーサヤカside …………何で? 私が倒した筈の男はボロボロの身体で未だに立ち塞がってくる。 出血が激しいのに、骨折だってしている筈なのに。 「どうして戦おうとするのよ!?」 「………意地だ」 「………意地?」 「男が…倒すって……言ったんだ…だから………俺はお前を倒……」 そこでカガリの体は強制転移によって消え行ってしまった。 「意地………か」 昔から変わらないんだから。 私のーーー私達の知っているカガリままだった。 「まだまだカガリに教えられることは多いわね」 どれだけ強い魔法を使えても心が強くなければ強いとは言えない。 あんな立つのが精一杯の相手にビビっているようでは私もまだまだね。 けど、 「それでこそ私の師匠だわ」 そして今も続く私の初恋の相手だ。 「よーし、ミズホもヒビキも私が倒しちゃる」 フルフェイスタイプの鎧の中で私の瞳は燃えるようにやる気に満ちている。 この対抗戦に私が優勝してカガリをあっと言わせてやるわ。 「今日はサヤカ無双よ!」 私は勢いよくミズホ達に向かって駆けて行った。
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