1 少年

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「哀しいの?」 少年は私に聞きました。 私は驚いて、その少年に尋ねました。 「どうして私が哀しいってわかるの?」 「夕焼けをそんなに一生懸命眺めているなんて、哀しいに決まっているよ。」 と、少年は答えました。 「君、どこの子?」 私は聞きました。 「この辺の子?」 「ううん、違うけど、そんな事、あんまり大事な事じゃないよ。星から落ちて来たのかもしれないし、地面の下から来たのかもしれない、風に乗って来たのかも、もしかしたら、あんたの好きな夕焼けのところからかもしれない。」 からかうように言うと少年は、その後で私を一瞬じっと見つめると、ふっと笑い、 「あんたには羽根があるね。」 と言って、くるっと向きを変えると今度はいきなり、さっきの角に駆け込んでしまいました。 私は、何だか馬鹿にされたようなみじめな気持ちになって、また哀しくなりました。 その時、私は実に簡単に哀しい気分になれるような精神状態だったのです。
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