†夢見がち†

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◇ 「おはよー」 従業員出入り口で、後ろから美里の声がした。 私も彼女も今日は中番。 出勤時間が一緒なら、偶然会うことも珍しくない。 「おはよ。昨日はおつかれ」 ほんとに疲れた。慣れない場所に出るもんじゃないな、とつくづく思う。 「恵美はほんとにお疲れだったね。あの男の子、しつこいし!」 くくっと笑う彼女は楽しそうだ。 二人で更衣室まで歩きながらしているのは、昨夜の合コンの話。 「あいつが散々笑わせてくれるから、おかげで捕まえそこなった」 大勢歩いているので、敢えて『なにを』をぼやかしているが。 そう、あの男の子の告白の時、盛大に吹き出して爆笑した彼女。男性陣から女子としての支持を得られず、結局飲みだけででとどまった様だった。 「笑い事じゃないわよ、食べることに専念して、適当なところで帰ろうと思ってたのに」 確実に面白がっている彼女を、横目で睨んだ。 あの男の子に始終熱く話しかけられて、殆ど食べた気がしない。
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