‡ 蜜月 ‡ 

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それは…仕事中だもの、当然のことで。 瑛人君のことを考えてたのだって、今朝仕事で絡んだからのことであって。 そんな風に、心の中で言い訳じみた思考を巡らせる時点で。 もう私は、認めているようなものだ。 私の中では未だに、ほんの些細な出来事一つで、瑛人くんへの気持ちが首をもたげて出てくるのだ。 ――― うっかりなとこは、相変らず ――― 恵美は、ほんと俺よりしっかりしてる 全然、しっかりなんて、していない。 口ばっかりで、心の中はこんなに狡い。 それきり返信のない携帯を見つめながら。 表面上、私達は仲直りはしたもの。 この日を境に少しずつスレ違い始めた。 それは、当然なのかもしれない。 『蜜月』 end.
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