†夢見がち†

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「あ。話戻すけど。あの男の子、恵美の連絡先知りたがってるって。短大の友達からメール来てたけどどうする?」 あんなこと言われて、懲りないよね。 ってみさが苦笑した。 急速に現実に引き戻された気分。 「やめてよ。職場とかも知らせないでよ?」 「友達、口は固いから大丈夫。でも、案外見込みあるんじゃない?あのセリフで引かないなんて」 美里はそういうけど、私はやはり気乗りしない。 首を横に振ると、彼女もやっぱりといった体で、納得してくれた。 更衣室について、それぞれのロッカーに分かれて歩いていくと、店の制服に着替えて身だしなみチェックをする。 どちらにしろ、これから直にお歳暮シーズンの繁忙期に入る。 私のカステラ屋は他店に比べると需要は少ないが、それでもフロアが活気づいてくるとお客様も増える。 忙しくなる中で、頻繁に連絡を取りたくなる相手じゃなかった。
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