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「それより恵美、こないだ言ってた合コン、考えてくれた?」
ぱん!と両手を合わせて拝む向こうから、ばつの悪そうな美里の笑顔。
反面、私の顔は渋くなる。
「…私、そういうのあんまり好きじゃないって。知ってるでしょ?」
短大の頃の友人に誘われた合コンに一緒に来てくれないかと以前から頼まれているけど、私はそういう場が余り得意じゃない。
それに。
「私は合コンで彼氏を探す気もないし、知らない人間同士でお酒飲んでも…ねぇ」
潔癖と言われようが高慢と思われようが、私の恋はどうしてもそこから発生すると思えない。
人それぞれ。
私は無理。それだけのことなんだけど。
「私だって、彼氏探そうと思って行かないよ、それでいいんだって。メンバー足りないから友達一人連れて来てって頼まれてるんだよ。どうせなら、気の合う子と行きたいのー!」
私が探すのは、遊び相手だしね。
小さな声でぽそっと付け足して、にっと笑って見せた。
私は、少し肩を竦めて彼女に態と溜息を落とす。
そう、彼女は恋人は作らず、いつも一晩の遊び相手を探す。
私はそれに賛同する訳にもいかないので、小さく非難だけはしておくようにしてる。
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