5421人が本棚に入れています
本棚に追加
「美里、普通にしてたらモテるんだから。そういうのやめたらいいのに」
「いいのいいの、私はこういうのが向いてるの。真面目なお付き合いって向いてないのよ」
ずずっと、手に持っていたパックのレモンティを飲み干した彼女は、壁の時計を見上げながら立ち上がる。
「詳しい日時はメールするね。だからお願い!私もう店戻るわ」
もう一度上から拝まれて、私は苦笑を浮かべて頷いた。
私は…あと15分くらいかな。
美里がいなくなって、私は少し、右斜め前を見る。
休憩室内、置けるだけのテーブルと椅子が乱雑に並んでる。
私の居るテーブルのもう一つ向こうに座る男性を、バレない程度に、チラ見。
彼は、腕を組んで俯いて、少し眠っているみたいだった。
あ。パックのコーヒー、おんなじだ。
自分の手元のコーヒーを、ずずっと一口飲んだ。
くだらないけど、少し嬉しくて。
ふふ、と笑みが溢れた。
私の勤める店の、通路をはさんで向い側。
大手の人気メーカーで割と大きなスペースをもらってる店舗の男性スタッフ。
最近ずっと気になってる人がいる。
最初のコメントを投稿しよう!