観賞用

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 大宇宙航海時代。名前だけを聞けば、実に華々しく思える時代だ。しかし、理想と現実というのは、大きく違うものだ。  地球から数多の探検家や調査団が宇宙へと旅立つも、それといって大きな成果を上げられた訳ではない。新しい発見。それは確かに、幾つかあり、人々の生活を変化させ続けてきた。だが、それは数多ある調査の内の僅かな成功例にすぎない。生命が存在する大半の星は独自の文化がある。それを、地球で活かせれば良かったが、その殆どはちきゅうでは役に立たなかった。僅かな環境下の違いで、文化の要である道具は地球では使えなかったり、変わった風習も地球では異質であり広がるということもなかった。  第一、人々は頭で想像するような世界をイメージしていたが、地球でも通じる道具や風習など、どこかの会社が発明した程度のモノで新鮮みもない、面白味も欠けていた。 「これが、宇宙というものか、実に面白くない」  人々は宇宙に期待を持ちすぎた。だからこそ、あまりにも現実的な成果しかでない宇宙に些か、落胆していた。  それは、同じように希望を胸に宇宙へと飛び出したY氏も同じであった。 「全くだ。私は子供の頃から地球という星を飛び出して、宇宙を冒険することを夢見ていたが、現実が、こんなものとは・・・」  宇宙船に同席していたX氏はY氏の呟きを聞き、それに賛同せずにいられなかった。宇宙を旅して有効な資源を発見するという楽しみを期待していたのに、その実務は宇宙に行けるようになっただけで、内容は普通のサラリーマンと大差ない働きをしていた。いや、この場合、漁師といった方がいいのかもしれない。資源を探して宇宙という海に出る。サラリーマンと言うよりも、こっちの表現の方がしっくりくる。 「もっと、こう・・・。地球の生活を一変させるような、そんな発見はできないものかな・・・」 「それは、厳しいだろう。生命が住んでいるような星でも、我々の星で扱えるモノは少ない。鉱脈を発見したとしても、よほど貴重なモノでなければ割りに合わないよ」  それは、もっともな言い分だ。ダイヤや金など地球でも採取は可能だ。それを、わざわざ宇宙にまでいって掘り出すなど非効率な仕事だ。  真っ暗、宇宙を画面を通して確認する二人は、退屈な時間を持て余し、時折、そんな会話を交わしていた。
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