487人が本棚に入れています
本棚に追加
門のすぐ側、俺のいた場所から死角になっている場所にそいつはいた。
茶色い髪に中性的な顔立ち。
掛けられた黒縁メガネは真面目そうな雰囲気を醸し出していた。
「なーっにしてんの?こんなとこで」
ぼーっとしている様子のそいつの前に立ちながら言う。
ちょっと俺より低いから174cmぐらいか?
「…っ!…貴方が転校生ですか?私は若柳葵、高等部生徒会副会長です」
綺麗な顔に笑顔を貼り付けてそいつ、葵はそう言った。
「副会長さんか、よろしくな」
そう言いふんわりとした笑顔を浮かべると、葵はほんのり頬を染めて…
「はい、よろしくお願いします」
嬉しそうに笑った。
「そっちの方が良いよ」
「……?」
俺の言葉が理解できないのか微笑を浮かべたまま不思議そうな表情を浮かべる。
微笑を浮かべたままだから解りにくかった。
「さっきの作り笑いより断然今の笑顔の方がキレイってこと」
「……っ。ありがとう、ございます」
俺の言葉を聞いて一瞬笑顔を崩して驚いた表情をする。
それもすぐに崩れてさっきよりもキレイな笑顔で笑った。
最初のコメントを投稿しよう!