自分でも気付いていなかったから

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「え?珍しいな、香川が欠席なんて。一郎、なんか連絡もらってないのか?」 「いや、俺のとこには何も」 「香川、桜川の近くにいたいからって、いつも一番早く生徒会室来てたのにな」 「なんかあったのかな?」 それぞれ紅葉のことを心配している先輩達。俺は会ってないけど、間違いなく、昨日の俺の発言が原因だとは分かっていた。 「あ、そういえば、紅葉。昨日、具合悪そうでした」 「本当か?ちょっと森谷、後で様子見てきてくれないか?」 「了解でーす。多分風邪で寝てるだけだと思いますよ。会議やっててください、俺見てくるんで」 「えっ、ちょ、森谷!?」 俺が直接悪いわけじゃないけど、このままにしておくのも面倒なことになりそうだし。桜川センパイの制止を振り切って、俺は紅葉の部屋に急いで向かった。 ピンポーン。 部屋のインターホンを鳴らしても、出ない。でも学校でも一度も見ていないので、寮の自室にいるのはほぼ間違いないはず。 っつーか、同室のヤツはどこ行ったんだよ。使えねえな。 「おい、お前なんか用か?」 「あ?」 声のする方へ顔を向けると、そこには坊主頭の背の高い男が立っていた。野球部とかにいそうな体格だけど、手にはバスケットボールを抱えている。なんだ、ただの桜木花道か。 「そこ、俺の部屋なんだが。それとも、香川に用か?」 「そう、俺生徒会の森谷。紅葉いるか?」 「…ああ、どこかで見たと思ったら、Q組のヤツか。香川なら、朝からずっと寝てるぞ。 具合悪いらしいから、用なら手短に済ませてやれよ」 そう言うと、その坊主頭の男はドアを開けて、またどこかへ行ってしまった。あれ、何しに来たんだあいつ?と思いながら、紅葉(と坊主頭)の部屋に入る。 玄関は真っ暗で、共有リビングの先の廊下だけが、うっすらと明かりをともしていた。
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