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二人部屋にはあまり入ったことがなくて(普段一人だから)最初どちらが紅葉の部屋か分からなかった。
しかし、ドンッと大きい音が片方の部屋から聞こえて、迷わずそちらのドアを開けた。
中に入ると、ベッドの下に、パジャマ姿の紅葉が倒れこんでいた。
「紅葉!?大丈夫か?」
「ん………、あぁ、千里か、……。ごめん、大きな声出さないで」
「え、あ。悪い」
よく見ると、紅葉は顔が真っ赤で目は潤んでおり、全身うっすらと汗をかいていた。
BLの恋人同士なら、攻めが理性外しそうなシチュエーションだが、紅葉は親友であり、かなり病人っぽい。ふらふらな体を支えて、とりあえずベッドに戻してやった。
「熱あるのか?大丈夫か?」
「うん、ちょっと。薬飲もうと思ったら、足がふらついて、……っは、ありがとう」
少し離れたテーブルに置いてあったペットボトルを取って渡すと、錠剤を口に入れてから、弱々しいながら一気に飲んでいた。ふうっと吐き出された息が熱く、呼吸が荒い。
「会議来ないから、先輩たちが心配してたぞ」
「ごめん。昨日、水シャワー二時間くらい浴びたら、朝から熱出しちゃって」
「そりゃ出すわ。なんで……あ」
なんでそんな奇行に走ったのか。理由はそれこそ、昨日の俺の発言だろう。珍しくいらないことを言ってしまったのに(普段も空気読めない発言するけど)、紅葉はツッコミもしなかった。それだけ体が辛いのだろう。
「あー、あのさ。さっき、坊主頭のでっかい奴に部屋入れてもらったんだ」
「ああ…、楓のことか。本田楓、クラスメートで同室のヤツだよ。バスケ部なんだ」
「さっき部屋の前まで来たけど、すぐ行っちゃったんだよな。何しに来たんだろ」
「…もしかして、様子見に来てくれたのかも。俺が朝リビングでぶっ倒れたから」
そうか。俺が来たから、他に見る奴がいると思っていなくなったのか。つーか、リビングでぶっ倒れたって大丈夫なのかよ。
それからしばらく部屋にいて様子を見ていたけど、薬が効いてきたのか一時間前よりも顔色が良くなった。
「なあ、本田ってヤツと仲いいの?」
「ん?楓は、…クラス一緒だし、同室だし。名前がさ、楓と紅葉でしょ?だから、そこから仲良くなったんだけど、…。
見た目は強面だけど、いい奴だよ」
「そっか」
「ごめん、寝る…」
「おう、ゆっくり休めよ」
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