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ガチャ、と扉が開く音がして振りかえると、バスローブをまとった一郎が立っていた。
「あ…、お先ありがとうございました。次、どうぞ」
「ああ、うん」
湯気を纏い濡れた髪の毛、紅潮した頬、覗くうなじ。すべてが艶やかで、色っぽい。
あまり見ていると本当に我慢できなくなりそうだったので、足早にバスルームへと飛び込む。風呂から出ると、備え付けのパジャマに着替えた一郎が、ソファに膝を抱えて座っていた。
「一郎。お待たせ」
「由貴さん。髪、濡れてますよ?」
「ん?ああ、ドライヤーが甘かったかな?」
「風邪引きますよ。ちゃんとかけてきてください」
「えー」
「ほら、早く。先に寝ますよ」
「はいはい、分かったよ」
きちんと髪を乾かしてから再び部屋に戻ると、一郎はすでに眠たそうに目をこすっていた。窓辺に座っていた彼に後ろから声をかける。
「一郎」
「あ、ゆき、さん。ちゃんと、乾かしました?」
「うん、大丈夫。寝ようか」
「ふあい…」
もう半分眠っているのか、素直に俺に手をひかれてベッドへと歩いていく。キングサイズのダブルベッドは二人で寝るには十分な広さだった。俺は(色々な事情で)一郎から少し体を離してベッドに横たわる。
「おやすみ。一郎」
「おやすみなさい…」
小さく笑顔を見せてくれた一郎は、すぐに目を閉じて寝息を立て始めた。俺もなけなしの理性が残っているうちに、さっさと眠ってしまおう。そう思って横向きになり目を閉じた。
数秒すると思っていたよりも疲れていたのか、すぐに眠気が襲ってきた。とその時、俺の背中に温もりが優しく触れた。一気に目が覚める。
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