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目の前には一組の男女。
男の一歩後ろに女。
後ろに回されている男の左手は
女の右手ときっと繋がれているんだろう。
申し訳なさそうにあたしを見る男女。
「咲良(サクラ)、悪い」
「ごめん、ね…」
あたしは目の前の二人を黙ったまま見つめた。
この二人はなんであたしに謝ってるんだろう。
なんか、悪い事した訳?
不意に可笑しくなって笑うあたしに、二人は顔を見合わせた。
「咲良っ…」
「ってゆーか、何で謝ってんの?なんか、悪い事した?」
女が何かを言おうとしたと同時にあたしがセリフを被せて。
全くもって、つまんない。
なんだこれ。
「ねぇ、何に謝ってんの?」
あたしの優しい問い掛けに二人は顔を赤らめた。
そして今度は男が話し出す。
「咲良と付き合ってたのに、雪江とこうなったから…」
喉を詰まらせながら言う男に
同調するように寄り添う女
は?
付き合ってた??
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