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あたしに近寄って来た男は
腰にスルリと手を回す。
「どした、咲良」
ニコリと音がしそうなくらいの綺麗な笑みを向けながらあたしの腰をキュ、と自分の方に引き寄せた。
「海治(かいじ)」
「ん?」
見上げたあたしの顔を覗きこみ今にも
啄もうとするのを無言で制してから
あたしは続ける。
「今、ちょっと訳の分かんない事
振られて困ってんだよね」
あたしは海治から視線を離して
また男女に向き直る。
「あたし、貴方と付き合ってたっけ?」
単刀直入に疑問を男にぶつける。
男はハッとしながら瞬時に頬を上気させた。
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