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「っはぁー……やっぱり無理に攻めたのが不味かったですねぇ」
来客用の椅子にもたれ掛け、溜まった空気を入れ替えるように息を吐く文。
将棋の駒を片付けた霖之助も軽く伸びをし、ぽきぽきと関節を鳴らす。
どうやらかなりの長丁場だったようだ。
「ということで今回の宴会のお誘いは丁重にお断りさせて頂くよ」
「何が丁重ですか。どんだけ外に出たくないんですかこの出不精」
ぷうと文が軽く頬を膨らませる。
一見見目麗しい少女の宴会のお誘いにも見えるが騙されてはいけない。
彼女は生粋な酒呑み種族の天狗であり、その酒豪振りは鬼とも並んで呑める程の飲兵衛である。
一度だけ天狗の宴会に参加したことのある霖之助は勿論、徹底して天狗の誘いは断っている。
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