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マッシーは首都勤務でアパートに一人暮らし。Y君とN氏は首都から大分離れた地方都市の同じ学校に教師として赴任し、一軒家に同居している状態である。
最初の数カ月は問題無く過ぎ去った。
ところがある日、Y君は大きなミスを犯してしまう。
日本から届いたダンボール箱をてっきり自分宛てに送られてきたものだと思ってあけてしまったY君。中から出てきた物は、いわゆるホモ雑誌の詰め合わせ。この時点でもまだ彼は自分のミスに気付かずに、悪友たちのイタズラに違いないと思って”あいつらやってくれるぜ”くらいに思っていたそうだ。ところが、宛名をよくよく見てみると、なんと書かれていたのはN氏の名前! ここで初めて彼は自分が重大なミスを犯してしまった事に気付く。
それ以来、Y君は学校が休みになった途端にソッコーで首都に出てきて、マッシー宅に転がり込んでくるようになった。まぁ途上国の一人暮らしに飽きが来ていたマッシーにとっても別に悪いことではなかった。二人で飲みに行ったりマ○ファナやったりしてそれなりに楽しんでいたのだが、徐々にY君が笑う頻度が減っていき、らしくない溜息などを付くようになる。で、事情を聞いたところ、Y君が上述のミスを白状したのである。
「いやぁ~、マジでキツいっすよ。職場も家も毎日ずっと一緒っすからね」
”今夜は星が良く見えますね”、”今日の夕陽はとても綺麗ですね”
それまでは特に気にならなかったN氏の言葉が、俄然不気味に思えてくるとY君は泣きそうな顔で言う。
これは確かにキツイ。何しろ日本人がほとんどいない途上国の田舎町で二人暮らし。これが若い男女だったらもうくっつかない方がおかしいだろ?って状況である。
「くっくっく、モテる男は辛いのう」(←Y君の不幸を酒の肴にして楽しむ鬼マッシーw)
「笑い事じゃないっすよ師匠! なんとかしてください!」
なぜだかわからないがマッシーはY君から師匠と呼ばれていた(何の師匠かはいまだに不明であるw)。
「ボコボコにしちゃえば? N氏なら楽勝だろ?」
「そういうワケにいかないっすよ。元々早とちりでNさんの荷物あけちゃった俺が悪いんすから」
確かにその通りである。
N氏が人間的にはイイ人であるのが余計にキツイとY君は言う。しかも開けてしまった荷物はN氏に見られる前に処分したからN氏の方はY君がそのことを知っていることを知らないのだ。
季節が進むごとにY君はやつれていく。
最初はげらげら笑っていたマッシーも、さすがに少し心配になって来た。
「師匠……任期途中だけど、俺日本に帰ろうと思う」
とうとうこんな事を言い出した。
こいつは深刻だ。かといって良い解決策も思い浮かばない。
結局、Y君の精神が崩壊する寸前でN氏に現地人美少年のボーイフレンドが出来て事なきを得たが、もしそれが無かったらY君は多分任期途中で日本に帰っていただろう。
無論、N氏の方もツラかったはずだ。
ノンケ男子を好きになってしまったBL男子も、BL男子に惚れられてしまったノンケ男子も、双方が物凄く苦しむ。悩んで悩んで悶絶する。どうせBL小説を書くのなら、この地獄の苦悩を深く掘り下げて書いてみたらどうだろうか?と腐女子の皆様には提案してみたい。いかがか?笑
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