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○丘の上の道路(夜)
道路へ繋がる長い階段を上り終え、肩で息をする黄一郎。手にはコンビニの袋。
ふいに強風が吹き、身震いする。
黄一郎「ったく、家がこんな丘の上じゃコンビニ行くのも一苦労だな」
悪態をつき帰路を辿り始めるも、すぐに足を止める。
視界の先にいるのは、道路標識のポールにしがみついている化物。
化物「ギガガガガガガガガ!」
黄一郎、絶叫。
タイトル『非常識道路標識』
○黄一郎自家・自室(朝)
目覚ましの音が鳴る。
それを止め、むくりと布団から顔を出す黄一郎。
黄一郎「うーん……?」
昨日の出来事と夢とが絡まり合い混乱している。
キッチンから聞こえる母の「早く起きなさい」の声で、黄一郎は気だるそうに着替えを始めた。
○丘の上の道路(朝)
ぽかりと口を開けている黄一郎。手には通学鞄。肩にはギターケース(アコースティックギター)。
視線の先には、ポール部分のみが残された道路標識。
黄一郎「これって……」
昨夜の光景が蘇り、身震いする。
黄一郎「夢じゃなかったのか……」
呟いてから、首を捻る。
黄一郎「そういや、ここにあった標識って何だったっけ?」
○教室(夕)
席に座り一人難しい顔をしている黄一郎。そこへ多仲二子が歩み寄る。
二子「随分と難しい顔をしていますね。悩み事ですかミスター黄一郎」
黄一郎「へ? ああ、二子さん。大したことじゃないよ。ちょっと思い出せないことがあってね」
二子「それは興味深いですね」
ズイッと顔を寄せてくる二子に赤面する黄一郎。
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