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今日も変わらない空を見上げる。
「はぁ…退屈ねー、ミル。」
「わん。」
本当に退屈。
することがない。
趣味がない訳じゃない。
読書は大好き。
だけど、ある本は全部暗記するほど読んでしまった。
流れる雲をボーッと眺めながらミルの頭を撫でる。
ミルも暴れまわる様な子じゃないからね…。別に大人しい訳でもないけど。
ボールを投げても…まぁ取りに行ってはくれるけど、そんなの毎日してたらお互いに飽きてしまった。
やることないなぁ…。
「シェーラ様、こちらにいらしたのですね。」
また見つかった…。
メイドのミリアは私を見付けるプロだ。
この場所はいいと思ったのに。
「最近はこちらにいらっしゃいますね。」
「知ってたの!?」
「はい、もちろん。でも私しか知りませんよ。」
毎回毎回…こやつは探偵か何かか。
「…いつから知ってたの?」
「二週間ほど前から。」
…二週間ぐらい前に隠れ場所を此処に移したところなんだけど。
「たまたま窓を開けたらシェーラ様の髪がチラッと見えたので。」
間違いない。絶対メイドになる前は探偵だ。それかどこかのスパイ。
「はぁ…ミリアには敵わないわ。用事?」
「バルド様がお呼びですよ。」
まっっったお父様ぁ?
いつもなら面倒なだけだけど、今日はもしかしたらもしかするかも…。
「わかったわ。行きましょ、ミル。」
「わん。」
もしかしたら…。
「失礼致します。シェイラ・リエル・エメリアです。」
「シェイラ、参るのが遅い。」
今さっき聞いたところ!!
ていうか、お父様からの呼び出しの第一声は絶対「参るのが遅い」なんだけど。
「申し訳ありません、お父様。」
「まぁよい。明日の夕食には大事な客が参る。エメリア家の名に恥じぬ振る舞いをしろ。わかったな?」
…いや、まだわからない。
「わかりました。」
「今夜は明日に向けてのマナーを見させてもらう。普段より細心の注意を払うように。」
「はい。」
「…では、下がってよいぞ。」
終わりか…。
「失礼いたしました…。」
ほら、やっぱり気付いてない。別に期待してた訳でもないけど。
もしかしたら…なんて本気で思ってた訳じゃない。
ドアを閉める音が無駄に響いた。
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