1:Treasure every encounter,for it will never recur

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1 今日も変わらない空を見上げる。 「はぁ…退屈ねー、ミル。」 「わん。」 本当に退屈。 することがない。 趣味がない訳じゃない。 読書は大好き。 だけど、ある本は全部暗記するほど読んでしまった。 流れる雲をボーッと眺めながらミルの頭を撫でる。 ミルも暴れまわる様な子じゃないからね…。別に大人しい訳でもないけど。 ボールを投げても…まぁ取りに行ってはくれるけど、そんなの毎日してたらお互いに飽きてしまった。 やることないなぁ…。 「シェーラ様、こちらにいらしたのですね。」 また見つかった…。 メイドのミリアは私を見付けるプロだ。 この場所はいいと思ったのに。 「最近はこちらにいらっしゃいますね。」 「知ってたの!?」 「はい、もちろん。でも私しか知りませんよ。」 毎回毎回…こやつは探偵か何かか。 「…いつから知ってたの?」 「二週間ほど前から。」 …二週間ぐらい前に隠れ場所を此処に移したところなんだけど。 「たまたま窓を開けたらシェーラ様の髪がチラッと見えたので。」 間違いない。絶対メイドになる前は探偵だ。それかどこかのスパイ。 「はぁ…ミリアには敵わないわ。用事?」 「バルド様がお呼びですよ。」 まっっったお父様ぁ? いつもなら面倒なだけだけど、今日はもしかしたらもしかするかも…。 「わかったわ。行きましょ、ミル。」 「わん。」 もしかしたら…。 「失礼致します。シェイラ・リエル・エメリアです。」 「シェイラ、参るのが遅い。」 今さっき聞いたところ!! ていうか、お父様からの呼び出しの第一声は絶対「参るのが遅い」なんだけど。 「申し訳ありません、お父様。」 「まぁよい。明日の夕食には大事な客が参る。エメリア家の名に恥じぬ振る舞いをしろ。わかったな?」 …いや、まだわからない。 「わかりました。」 「今夜は明日に向けてのマナーを見させてもらう。普段より細心の注意を払うように。」 「はい。」 「…では、下がってよいぞ。」 終わりか…。 「失礼いたしました…。」 ほら、やっぱり気付いてない。別に期待してた訳でもないけど。 もしかしたら…なんて本気で思ってた訳じゃない。 ドアを閉める音が無駄に響いた。
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