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あ、照れてる。
マオって照れると首触るよね。こういう癖がわかると楽しい。
「すいません。コレに出たいんですが…。」
「ちょうどさっき締め切ったとこだ。」
「お願い!ダメぇ?」
出た!マオの「ダメぇ?」!!
「…じゃぁコレに名前書いてー。」
「ありがとうっ。」
マオ…いっつもこれで乗り切ってるな…。
マオフェゼルタ・アシュレイ…?
「僕のフルネーム。」
あ、私ったら凝視してた…。これだけ見られてたら気付くわよね。
私、マオのフルネームすら知らなかった…。今考えたら、私ってマオのこと何も知らないじゃない…。
「まだ、知り合ってちょっとしか経たないんだから、お互いのこと全然知らなくて当然だよね。」
「へ?」
「ん?何でもないよ。客席の方に行っといて。」
「う、うん。ミル、行こっか。」
「わん。」
私、そんなに顔に出てたかな…。
えーっと席、席…。ここでいっか。
「ミル、おいで。」
膝をポンポンと叩いた。
「わんっ。」
「ただ今より的当て大会を開催しまーす!!」
締め切られてただけあって早い!本当にギリギリだったんだ…。
「まずはルール説明から!出場者には三十メートル先の的を狙っていただきます!打つ矢は三本!的は、中心が百点、その周りから九十点、七十…」
途中からボーッと聞き流していたらいつの間にか競技がスタートしていた。
きっとギリギリでエントリーしたからマオは最後ね…。
なんか他の人もすごいなぁ…。マオ、大丈夫かしら…。
あんなに離れたところからどうやって当てれるのかしら?私から見たら、あんな小さな的を当てれるってだけでもすごい。
「隣、いい?」
「はい!?」
「あ、ビックリさせちゃった?」
「い、いえ!どうぞ…。」
「ありがと。」
いかにも活発そうなショートヘアの女の子だ。人懐っこそうな顔してる。
「カワイイわんちゃんだね!」
「あ、ありがとうございます。」
「名前なんていうの?」
「ミル、です。」
「ミルちゃんかー。かぁわいー。」
「わん!」
「あなた、名前は?私はミーナ。」
「あ、シェーラです。」
「うん、よろしくねシェーラ。」
「よろしくお願いします…。」
隣座っただけでグイグイ話し掛けてくる…。
心臓、口から出そう…。
落ち着けシェーラ…!!
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