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14.
俺たちはまき子の部屋にたどり着いた。
水崎の位置情報はごまかせているので、追っ手はしばらく来ないだろうが、ここもいつまでも安全とは言えない。
水崎だけじゃなくまき子の部屋が明るみに出るのも避けたかった。
まき子が水崎と二人きりにしてほしいというのでとりあえず俺は外で待機している。まあ見張りみたいなもんだ。
二人きりになってもアイツは水崎の美貌には興味がない。興味があるのは<中身>だ。普通の女とは違う。まあアンドロイドだから何かできるというわけじゃないが。
いつまでも俺は水崎を守れるだろうか……たぶん無理だ。俺のせいだが、水崎は人間に危害を加えた。俺たちへの捜査はもっと強くなるだろう。
俺が知りたいのは、水崎が作られた本当の理由だ。本田教授は否定したが、何かあるはずだ。それが分かれば、何か納得のできる理由であれば、俺は水崎を……手放すことを認めるかもしれない。
「ったく何やってんだよ…」
一時間くらいになるが、まだ二人はイチャついてるようだ。
今はまき子に頭が上がらないから仕方ないが。
すると、まき子から電話がかかってきた。
出て来いよすぐ外にいるんだから。
「どうした?イチャイチャは終わったか?」
『もちろん。あんなとこやこんなとこまで見ちゃった』
「何してんだよ」
『分解したわけじゃないよ。そこまで機械強くないし。まあおいでよ。しばらく行くところないでしょ』
「わかった」
返事が終わるまでにまき子は切る。もう慣れた。
まき子の部屋にはもちろん水崎がいる。でも水崎がいるのは違和感がある。いつもこの部屋では二人だけだからお客さんは変な気分になる。
「なんか面白いことあったか?」
「うん、いろいろね。AIのプログラム自体は結構複雑だから、一部しか見ていないけどね。監視した情報は録音録画されてて、常に配信されているわけじゃないみたい。溜めて必要があれば送るみたいな形になってる。で、他は暴言とか悪口を判別して、言葉を放った人物をピックアップ。要注意人物になってマークされるみたい。歩く防犯カメラね、それで記録の映像を見たらあんたがしょっちゅう出てくる。さすが友達ね」
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