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13.
中々手掛かりが得られずに俺がもたもたしている間に、最も恐れている事が起きた。
最初に起きたのは〈So Heaven〉を訪ねてから二日後の事だ。
新聞の片隅に載っていた【栄井・工事現場のパネル落下、21歳男性死亡】という記事。可哀想ではあるがそう珍しくない事故なので俺は流し読みしていたが、死亡した男の名前を見てゾッとした。長谷川からもらったメモに書いてある男だったからだ。
しかも即死ではなく、数時間後に死んでる。意識不明であればいいが、苦しんで死んだなら地獄だっただろう。
次にそれから三日後、テレビのニュースでは入江海岸通りでトラックの落下物が後続車に直撃したという事件を報道していた。
画面ではトラックに積まれた鉄パイプが運転席を突き破っている悲惨な状況を伝えていた 。
運転手は病院に搬送されたものの後に死亡。そして被害者はまたしても安田派の人間だった。
そして昨晩、栄井駅裏にある小さな公園のトイレで不審火があり全焼。個室トイレ中からはドアが開かず閉じ込められた男性が焼死した。
トイレの近くに停めていたバイクから身元が判明、市内に住むで名前は山田隆正、22歳だという。
この一週間で安田の仲間が3人も死んだ。始めの二件は事故、山田隆正は放火による被害だが共通しているのはどれも残酷な死に方であるという事だった。
断言できる、これは西崎の仕業だ。
彼は既に動き出したのだ。
別に能力云々の事を言ってる訳じゃない。俺が西崎の仕業だと感じるのは最初に会った時の印象にある。
冷たい目、落ち着き払った低い声、全てに未練の無い思考。
そんな西崎ならやりかねない。そう思わせた。
そして、実際に共通の仲間が次々と壮絶な死を遂げている。
西崎が思い悩んでいた時、彼曰く半年で関係者を7人殺したようだが、今回は一週間で3人だ。それもとても残酷な方法で。
病室で意識のない夏美さんと対面した時、彼はどんな表情だったのかは想像できない。きっと俺がどんなにイメージしても、それを上回る憎しみや悔しさが表情に滲み出ていたのかもしれない。
そして、彼は本当に悪魔になった。愛して止まない娘の心と引き換えに。
それと同時に俺がするべき事は決まった。西崎を見つけ出す事だ。
このままじゃあと安田が殺されるのも時間の問題だ。西崎にはこれ以上暴走して欲しくない。また優しいお父さんの表情に戻って欲しい。
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