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15.
病院を抜けたその足で俺は再び〈So Heaven〉に向かった。
昼間の扇瓦町はやはり閑散としている。この雰囲気も好きだ。ということはやっぱり扇瓦町は好きだ。
〈So Heaven〉のドアには休業中という貼り紙がしてあった。closedではなく休業中、何かただ事ではない気がした。
試しにゆっくりドアを押すと開いた。
恐る恐る入ると、長谷川勇斗がカウンターに腰掛けていた。バーデン姿ではなくシャツにジーパンという姿で。
「今度は何しに来たんだよ?」
「何で休業してるんだ?何かあったのか?」
俺の質問にうんざりした態度で長谷川は答え始めた。
「お前も知ってんだろ?安田の仲間が次々死んでる事件」
「ああ、俺もびっくりしたよ」
「まあ俺らも元々は一緒に色々やらかした仲間だからな、こんなに不幸が続いたんじゃみんな呪いだとか言ってびびっちまって暫く栄井を離れるなんて奴も出てきたり、家から出ない奴もいるから従業員が足んねーんだよ。だからしばらく休業。あんまり休めない時期なのにさ」
いくら仲違いしたとはいえ、心当たりがないわけじゃない。彼らにとっては夏美さんの事件以外にもたくさんの報復に怯えないといけなかった。
「そっか。だったらこの男はここに来なかったか?」
俺は依然西崎父娘が〈ベルナール〉に来た時に撮った携帯写真を見せた。
「このおっさんか?知らねえな。まずこの店に来るような感じじゃねえよ」
「でもきっと今はもっと冷たい顔してるぜ」
「それでも見たことない」
「そうか…」
確かにまさかこの店と安田が関係あったなんて西崎が知る訳がなかった。
「そう言えば安田には会ったのか?」
「いやそれがまだ」
「それなら住所教えてやる。こないだはまさかこんな大事になるとは思わなかったからな。今やいるとは思えないけど、後は女の家にいるかもしれないからそっちも書いといてやる」
長谷川はまたメモを取ってくれた。
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