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「ありがとう」
「奴はキレると何しでかすかわからんからそれだけは気をつけろ。もうこれ以上奴に罪を重ねて欲しくない」
「わかった」
俺が意外だったのは長谷川は安田をかなり心配している事だった。
仲違いしたとはいえ、やはり仲間である意識は残っているのだとなんとも言えない気分になった。
相手が安田でなければ良い話なのに…
俺は何だかもったいない気がした。
〈So heaven〉を出た直後、古藤まき子から電話がかかってきた。
「どうした?」
「びっくりする事がわかったんだけど聞きたい?」
第一声からとても気になる言葉が飛び出した。
そりゃ聞きたいさ。
「ああ、もちろん」
「じゃあ3時におうちに来て」
「家に誘ってくれる女の子はお前だけだな」
「うん。今日、パパもママもいないから…この意味わかるよね?」
お前にはパパは最初からいないだろ。
「そんなギャグやってる場合か?」
「とりあえず来て、あなたきっとびっくりするから」
まき子はフフッと笑う。よっぽど何かあるらしい。
こっちも興味が沸いてくる。
「わかった。また堂島ロールか?」
もう紅茶は付けないつもりだ。
「いえ、今度はそんなんじゃ許してあげないから」
「…そうか、何か食べに行くか?」
恐る恐る訊いてみた。たまに割りに合ってるのか?と言いたくなる要求が待っている時がある。
「うん、もちろん!」
今日も何だか機嫌が良いな。
それが逆に脅威だ。
「おう、じゃあ今日のところはまあ行けばいいんだな?」
「うん、待ってる。じゃあ」
何があったのかすごく気になるが、それよりももっと気になったのが俺の財布の中身だった。
本当に人助けには金がかかる。
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