悪魔になった男

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「富森市のセブンイレブン、東沢口店。だからこの道路は高間街道で、栄井からだと市庄通りをまっすぐ行ったらここに出るのよ。そしてこのビデオの日付が13日の1時27分…」 「ってことは…」 「安田たちにはアリバイがある」 そんな馬鹿な! 俺は全く信じられなかった。 「でも、これは本当に本人か?」 「あたしも気になってさ、ちょっと調べたのよ。そしたら仲間の一人がFacebookに記事あげてたの」 別のモニターにFacebookの画面が表示された。 名は嶋田卓也。パネルの下敷きになって死んだ奴だ。 「ほら、〈この日は高間山までぶっ飛ばした!夜景がスゲーキレイ!この感動は来た奴じゃないとわかんねーぞ!〉だって。せっかくだからいいね!しちゃった。それでこの集合写真には安田が写ってるし、服装もさっきのビデオの映像と同じ。間違いない」 「そんな…」 俺はずっと関係ない奴を追ってたのか? 改めて自分の判断の悪さを恨んだ。 「だからとっくに警察は他の犯人を探してるみたい」 「そうか…」 「まあ安田たちも罪がない訳じゃないからね、報いを受けるのは当たり前よ」 それでも構わないが、そうなると引っ掛かる事がある。 「でもそれならおかしい」 「何が?」 「どうして西崎は安田たちが犯人だと思ったかだ」 「確かにね」 「目撃したならまだしも西崎が街のチンピラをキチンと知っていたって事の方が不自然だし、確証もないのに当てずっぽうで4人も殺すか?」 「さすがにないかなぁ」 まき子は頷きながら冷たそうなカルピスを啜る。 「ってことはさ、誰かが嘘を教えた」 「その可能性が高い。じゃあなぜ嘘を教えたのか…」 俺はそう言うととんでもない事を思い付いた。あんまり信じたくないけれど。 というかそもそも俺はこの事件自体を信じたくない。誰かがドッキリだと言ってくれたらそれでもいい、別に怒りはしない。 「それは安田たちに死んで欲しかったから…」 「じゃあ西崎さんは利用されたって事?」 「多分。しかしそれなら西崎さんがそんな能力を持っていたという話を知っていないと成立しない」 「そんな人いる?マサキだけでしょ?」 そうじゃない。しかしいくらあいつでも何もそこまでクズだなんて思いたくない。 まあ多分クズなのが事実だ。
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